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特定技能1号移行で最長10年!外国人が長く働くために

日本に在留している外国人の方は増えています。しかしその多くは「実習」や「留学」の名目で居住が認められる人々で期限が短く限られることが前提。少しでも多くの労働力が欲しいと考える中小企業にとっては難しい状況もありました。そのような背景もあり、昨今は特定技能制度が導入され、その対象分野が拡大されるなど、外国人の方がより長く日本で働ける環境が整備されつつあります。「外国人労働者が長く働くためには」をテーマにした4回目の記事である今回は総まとめとして、労働力不足に悩む中小企業の視点で解説します。

 

技能実習生の滞在期間は?

最近よく耳にすることが増えてきた「外国人技能実習生」ですが、そのタイプは1号から3号まであり、それぞれ滞在期間が異なります。もちろん技能実習生本人の希望があることが前提ですが、自社で技能や経験を積み長く働いてもらえる人材確保を視野に入れるのであれば、1号から2号、そして3号への移行についてもしっかり把握しておくことが重要です。

技能実習1号の滞在期間は1年間

技能実習生として入国1年目に取得する在留資格が「技能実習1号」です。日本への滞在は1年間ですが、最初におよそ1ヶ月間の入国後講習が義務付けられているため、実質の雇用期間は11ヶ月間となります。技能実習1号から2号へ移行は可能です。2号になれば追加で2年間日本に滞在することができるようになり、1号からあわせると最長3年間の滞在が可能です。

しかし、1号から2号への移行には条件があります。その1つが「対象職種」です。技能実習2号の対象職種は90職種165作業(2024年2月時点)です。1号で従事していた職種・作業がこれらに当てはまらない場合には2号の資格を得ることができず、滞在期間を延長することはできません。企業側はしっかりと自社の職種・作業を確認した上で技能実習生の受け入れ手配をする必要があります。

2つ目の条件は技能実習生本人の技能水準が満たされているかどうかです。2号へ移行するためには、定められた実技試験と学科試験に合格することが必要になります。
なお、対象職種は随時変更があります。最新情報は外国人技能実習機構のHP(https://www.otit.go.jp/)などで確認することができます。また、2号への移行は1号の実習期間を終える1ヶ月前までの申請が必要です。実習生本人が行いますが、企業側のサポートも必要となるでしょう。

技能実習2号の滞在期間は2年間

技能実習1号のところで説明をしたように、技能実習2号は最長で2年間日本に在留することができます。受け入れ企業は1号の時と同様に、2号の実習期間に応じた技能実習計画を作成し、認定を受けます。さらに、条件をクリアすれば2号から3号への在留資格の移行も可能です。3号になればさらに2年間、日本に滞在することできます。つまり、1号から2号、そして3号まで移行していくことで、通算で最長5年間の滞在ができるようになるのです。

2号の職種の多くが3号へ移行可能とされていますが、一部認められていない職種・作業もあるのであらかじめしっかりと確認しておくことが重要です。またあわせて、実習生本人が所定の技能検定に合格する必要があります。そして3号への移行では監理団体および受け入れ企業が優良認定されている事も条件の1つとなります。受け入れ企業については、技能実習生への待遇は適切か、相談や支援体制が整っているか、これまでの実績はどうかなどが評価のポイントとなるようです。
3号への移行の手続きは2号の実習が終わる2ヶ月前までの申請が必要です。1号よりも早めの準備が必要となりますので注意しましょう。

技能実習3号の滞在期間は2年間

技能実習3号は最長2年間、日本に在留することができます。受け入れ企業が技能実習計画を作成し認定を受けます。3号へ移行する技能実習生は、3号の実習が始まる前または開始後1年以内に1ヶ月以上1年未満の一時帰国が認められています。家族と長く離れて生活している技能実習生たちに、心身ともに安心して日本に滞在してもらうための必要な措置です。受け入れ企業側は一時帰国を見越したうえでの業務の調整をしておくようにしましょう。

さらに特定技能を活用すると?

技能実習生としては通算5年、日本に在留が可能ですが、さらに長く在留してもらえる制度として「特定技能」があります。日本で学んだ技能を自国に持ち帰ることが前提の技能実習制度と異なり、特定技能は労働力不足に悩む特定分野の人材を補うという目的を持っています。特定技能を利用することで、これまで技能を身につけてきた外国人労働者にさらに長く自社で活躍してもらえるようになります。

特定技能1号へ移行すれば最長10年の滞在が可能に

技能実習2号または3号を修了した技能実習生は、条件を満たせば特定技能1号へ移行することができます。特定技能1号では一定期間での更新は必要となりますが、合計で5年間、働くことが可能となります。つまり、技能実習1号から2号、3号、そして特定技能と移行した人であれば、あわせて最長10年間、日本に滞在することが可能となるということになります。

特定技能1号を取得するには

特定技能1号の職種は「介護」「ビルクリーニング」「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」「建設」「造船・船用工業」「自動車整備」「航空」「宿泊」「農業」「漁業」「飲食料品製造業」「外食業」の14業種(12分野)となっています。特定技能1号を取得するには各産業分野の試験に合格することが求められます。ただし、これらの職種・作業の技能実習2号を良好に修了していれば試験は免除されることとなっています。

特定技能2号になれば永住できる可能性も

特定技能2号への移行については、特定技能1号の資格を持ち、試験などで技能水準を満たしている確認ができれば可能です。1号よりもより指導・監督的な技能が求められます。

特定技能2号へ移行すると、3年、1年、または6ヵ月ごとに滞在期間の更新は必要ですが、滞在期間の上限はありません。つまり、実質的には永住が可能な在留資格だということができます。あわせて、家族と一緒に日本で暮らすことができるなど、1号では認められていないことが認められるようになります。
対象職種は2022年以前は「建設」と「造船・舶用工業」の2分野のみでしたが、2023年より「介護」分野を除く11分野に対象が拡大されています。介護についてはその他の在留資格への移行が可能なため特定技能2号としては認められなかったという背景があります。

まとめ|「特定技能」の受け入れは安定的な労働力確保の重要な選択肢

技能実習、特定技能制度が導入され、中小企業をとりまく採用環境もどんどん変化しています。短期間しかいない前提の外国人を絶えず確保していくことは労力もコストも大きくかかります。一方で、日本そして、自分の会社で長く働いてくれる外国人をどう採用し、受け入れていくかを考えることは安定的な労働力を確保する上での1つの大切な選択肢といえるでしょう。

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