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特定技能「1号」から特定技能「2号」に移行する方法

「外国人労働者が長く働くためには」をテーマに役立つ情報をお届けするシリーズブログ。第2回目の今回は、特定技能「1号」と特定技能「2号」ではどんな点が違うのか、また「1号」から「2号」に移行するためにはどうしたらよいのか、その方法について解説していきます。

特定技能とは?

外国人労働者を受け入れることで日本の労働力不足を解消することを目的に導入された制度が「特定技能制度」。「特定技能」はその制度を利用した特定の条件を満たす外国人に与えられる在留資格のことをさします。学んだ技術や知識を母国に持ち帰ることを前提にした技能実習生と違い、特定技能は定められた分野での熟練した能力や経験を持った即戦力であることが求められます。

特定技能「1号」と特定技能「2号」

特定技能の在留資格には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類あります。特定技能制度は2019年に導入されてから5年目。そのため2023年12月現在、特定技能2号の在留資格を持つ人はまだそれほど多くありません。とはいえ、1号が最長5年の滞在なのに対して、2号は更新すればずっと日本にいることができる資格のため、今後は特定技能2号の方が増えていくことになるでしょう。以下に特定技能1号と特定技能2号の具体的な違いについてまとめます。

特定技能1号と2号の違いとは?

1号と2号では大きく分けて以下の6つの項目で違いがあります。

① 在留期間
② 永住権
③ 家族の帯同
④ 技能水準
⑤ 支援計画策定
⑥ 技能試験の実施

① 在留期間

まず大きく異なるのが1つ目にあげた「在留期間」です。特定技能1号では最大5年しか日本に滞在することはできませんが、2号では更新をすれば年数の制限なく日本に滞在することができます。在留期間の更新については企業の住所地を管轄する出入国在留管理局で手続きをします。更新頻度は1号では1年・6ヵ月・または4ヵ月ごと、2号では3年・1年・または6ヵ月ごととされ、2号のほうがその間隔が短くなっています。

② 永住権

① の在留期間で説明したように、特定技能2号では在留期間の制限はありません。そのため、特定技能2号となり10年以上日本で働き続ければ日本の永住権を取得する条件として認められます。特定技能1号の場合は永住権取得の条件とはなりません。特定技能2号になることは、将来的に日本の永住権を取得したいと希望する外国人労働者には、重要な足掛かりとなるのです。

③ 家族帯同の可否

遠く離れた日本で働く外国人労働者にとって、家族の存在は大きい支えになるものです。特定技能1号では家族一緒に日本で暮らすことは認められておらず、単身赴任で働くしかありません。しかし2号になれば、家族の帯同が認められるため夫や妻、子どもと一緒に日本で暮らすことができるようになります。

④ 技能水準

特定技能2号では、特定技能1号よりも高い技能が求められ、2号認定時には技術試験を受け合格する必要があります。各分野によって内容や試験も異なりますが、工程指導や管理まで含めてできることが条件になることが多いようです。

⑤ 支援計画策定

特定技能1号では受け入れ機関や登録支援機関による支援が必須となります。支援計画には住まいや口座開設の支援、送迎方法など細かな項目が義務付けられ、受け入れ企業はサポート体制の構築はもちろん、書類自体の作成もしなければなりません。しかし、内容が煩雑で外国語での書類記載が必要となるため、外部の登録機関に依頼するのが一般的です。特定技能2号の場合は支援計画の義務がなく、それらの手間がなくなるため、受け入れ企業側にとっても大きなメリットと考えられます。

特定技能1号と2号で、就業できる業界に違いはある?

以前は特定技能2号の受け入れ先は「建設」「造船・舶用工業」の2分野だけでしたが、2023年6月、11分野へ大幅に拡大されました。労働力不足がより深刻な農業や宿泊業、外食業なども認められた形です。

<特定技能2号の受け入れ可能な11分野>

1.建設
2.造船・舶用工業
3.ビルクリーニング
4.素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
5.自動車整備
6.航空
7.宿泊
8.農業
9.漁業
10.飲食料品製造業
11.外食業

特定技能2号になるには2号技能試験の合格が必須条件

特定技能2号になるためには、特定技能1号からの移行が主流ですが、2023年秋以降は特定技能1号以外の在留資格からでも移行が可能とされるようになりました。しかし、1号からの移行でもその他の在留資格からの移行でも、分野ごとで実施される特定技能2号の試験への合格が必要です。試験情報については管轄する各省庁のサイトを確認するようにしましょう。申し込みを外国人労働者本人ではなく企業が行わなければならない場合もあるので、該当者がいる場合にはこまめに情報を確認するようにします。特に、2023年に新たに追加された分野については前例がないため情報収集が難しいことがあります。注意するようにしましょう。

特定技能2号の人材を企業が確保するには?

企業側が特定技能2号の人材を確保するには以下の3つの方法が考えられます。

①現在自社で従事中の外国人労働者を特定技能1号から2号に移行する
②別の企業で特定技能1号として働く外国人を採用し、2号に移行する
③別の企業で働いていた特定技能2号の外国人を採用する

①は自社で働く1号の人材を2号に移行する方法です。②と③は他社で技能を積んだ人材を受け入れる方法です。技能実習と異なり特定技能は転職が認められるため、給与や労働条件によってはより良い人材を確保することができるかもしれません。逆を言えば、自社で受け入れいていた人材が他社に流れてしまう可能性も否めないため、労働環境や信頼関係の構築は欠かせないと言えるでしょう。

まとめ|特定技能2号を見据えた採用活動を

特定技能2号は、長く日本で働き、暮らしたいという外国人にとってはもちろん、人手不足に悩む日本の企業にとっても熟練した技能を持つ人材を長期的に確保できるという大きなメリットがあります。対象分野も拡大され、ゆくゆくは特定技能1号を経て2号となり、さらには永住権の取得を目指す外国人の方も増えてくるでしょう。将来を見据え、末長く雇用したいと考えている場合には、技能実習や特定技能1号の段階で2号移行に向けた採用、人材育成、そしてサポートや環境の整備などの準備・検討をしておくことが重要と言えるのではないでしょうか。

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